『エリザベート』は、豪華な舞台セットと圧倒的な歌唱力で観客を魅了するミュージカルです。
本作は、オーストリアの皇后エリザベート(シシィ)の波乱に満ちた生涯を描いており、彼女の美しさや自由を求める情熱、そしてその背後に潜む暗い運命に迫ります。
宝塚版と東宝版がありますが、今回は東宝版についてご紹介します。
東宝版『エリザベート』歴代キャストについての記事はこちら。
宝塚版の『エリザベート』歴代キャストについての記事はこちら。
東宝版『エリザベート』ルドルフ役でデビューした井上芳雄さんについての記事はこちら。

あらすじや登場人物、見どころ満載のパフォーマンスなど、東宝版『エリザベート』の魅力を一挙にご紹介します。
東宝版『エリザベート』ってどんな話?

『エリザベート』は1800年代に勢力を持っていた名家、ハプスブルク家が滅亡に向かう時代背景を描いた作品です。
作中には実在した人物が多く登場し、史実にもとづいた物語のため難しく思える場面もあります。
『エリザベート』がどのような話なのか、ざっくり説明します。
東宝版『エリザベート』のあらすじ
ミュージカル『エリザベート』は、オーストリア=ハンガリー帝国の皇妃エリザベートの生涯を描いた作品です。
この物語はエリザベートの自由を求める姿勢と、彼女を愛する死の象徴であるトート(死神)との関係を中心に展開されます。
物語はハプスブルク家が治めていた時代に設定されており、エリザベートは美しさと自由を求める精神を持つ女性として描かれます。
彼女は皇帝フランツ・ヨーゼフと結婚し、極めて厳しい宮廷生活に直面します。
自由を妨げられた彼女は、姑である皇太后ゾフィーとの対立や夫との夫婦関係、息子ルドルフの自死などさまざまな試練を通して、死との向き合い方を模索していくのです。
エリザベートの内面的な葛藤や、宮廷における孤独感が強調されており、自由を求めて戦い続ける彼女の姿勢は多くの観客に共感を呼び、人気の作品となっています。
東宝版『エリザベート』の登場人物
東宝版『エリザベート』の登場人物を紹介します。
男役が主役である宝塚版ではトート(死神)を主役において物語が構成されていますが、東宝版ではどちらかと言うとエリザベートを主役においた構成となっています。
各登場人物をイメージした画像はAIが作成したものです。
エリザベート(シシィ)

エリザベートは、オーストリアの皇后であり、自由を求める強い意志を持った女性です。
ハンガリーの公爵家に生まれ、自由な環境で育ち、乗馬や詞を好む活発な少女でした。
曲芸の練習のために木に登って落ち、意識を失った時にトート(死)と初めて出会います。
宮廷に嫁いだことで、厳しい規律と格式に苦しみました。
エリザベートの美しさと魅力は多くの人々を惹きつけますが、同時に彼女は「死」と向き合う運命を背負っています。
フランツ・ヨーゼフ1世

フランツ・ヨーゼフは、オーストリア皇帝でエリザベートの夫です。
フランツの母である皇太后ゾフィーはエリザベートの母、ルドヴィカの姉なので、エリザベートとはいとこ同士になります。
穏やかで真面目な人物ですが、基本的にゾフィーの意向に従い、エリザベートとの関係は上手くいきません。
エリザベートから「お母さまか私、どちらを選ぶの」と迫られて妻を選んだものの、皇帝としての義務と家庭での愛情との間で葛藤を抱えています。
息子、ルドルフとの間には埋められない溝がありました。
トート(死)
トートは、エリザベートにおける「死」の擬人化であり、彼女に執着し誘惑します。
彼はエリザベートに対して愛情と恐怖を同時に抱かせる役割を果たします。
物語の中でエリザベートが自由を求める過程を見守り、影響を与える重要な存在です。
エリザベートの結婚式、息子ルドルフの葬儀など折に触れてエリザベートの前に現れる様子はまるでストーカー…。
自由を求めるエリザベートが自ら死(トート)を求めるまで待ち続けるという、執着心の強いキャラクターです。
ルドルフ(オーストリア皇太子)
ルドルフは、エリザベートとフランツ・ヨーゼフの息子です。
彼は母親との絆が強く、自由を求める思いを受け継いでいます。
彼もまた宮廷の圧力に苦悩し、最終的には命を絶つという悲劇を迎えます。
母親であるエリザベートに放置されているルドルフの前にトート(死)が現れ、ルドルフはトートに好感を持ちます。
最終的にトートにそそのかされて拳銃で自死してしまいます。
ルドルフの死をきっかけに、エリザベートは生涯喪服を着てヨーロッパ各地を旅するようになりました。
ゾフィー(オーストリア皇太后)
ゾフィーは、フランツ・ヨーゼフの母親で、厳格な宮廷の秩序を象徴しています。
嫁のエリザベートに対して厳しい期待をかけ、彼女との関係は緊張感に満ちています。
エリザベートの宮廷生活を管理し、支配しようとします。
史実ではエリザベートの仲は悪くなかったようですが、ミュージカルではエリザベートの宿敵のように描かれています。
宮廷を影で支配する女帝で、その権力は亡くなるまで続きました。
ルイージ・ルキーニ(暗殺者)
ルキーニは、エリザベートの暗殺者であり、物語の中で犯罪の視点からエリザベートの運命を語る役割を持っています。
彼は物語の進行を促進する狂言回しの役割も担っており、エリザベートの人生における「死」の存在に直接関わっています。
反体制派のイタリア人無政府主義者であるルキーニは、トートから短刀を手渡されエリザベートを暗殺しました。
ルキーニが歌唱する作中の楽曲は人気があるものが多く、「キッチュ」や「ミルク」がよく知られています。
その他の登場人物
- マックス(エリザベートの父)
- ルドヴィカ(エリザベートの母、皇太后ゾフィーの妹)
- ヘレネ(エリザベートの姉)
- エルマー(ハンガリー貴族)
- シュテファン(ハンガリー貴族)
これらのキャラクターは、エリザベートの人生に対してさまざまな影響を与え、物語をより深いものにしています。個性あふれる登場人物は、エリザベートの内面的な葛藤と歴史的背景を通じて、1800年代のオーストリア社会の様子を反映しています。
なぜトートはエリザベートに惹かれたのか

トートがエリザベートに惹かれる理由は、彼女が持つ自由さや生命力にあります。
エリザベートはその美しさと生きる力でトートを魅了し、彼女の存在は彼にとって特別なものとなります。
彼女は生への渇望と同時に死に対する憧れを抱えており、これがトートとの強い結びつきを生んでいるのです。
特に、エリザベートは生きることの苦しみや孤独を感じており、トートは彼女の内面にある「死に対する憧れ」という側面に引き寄せられる存在とされています。
トートはエリザベートの自由な精神に共感し、彼女が持つ渇望を理解することで、より一層彼女に引かれていくのです。
エリザベートの人生には息子の自死、宮廷での窮屈な生活、混乱を極めた政治情勢など多くの悲劇や困難があり、トートは彼女に対し理解ある存在として寄り添います。
彼の役割は、エリザベートが人生で直面する困難を共にすることなのです。
トートがエリザベートに惹かれるのは彼女の生命力に加え、彼女が抱える暗い側面に引き寄せられるからだと考えられます。
エリザベートがトートに対して感じる愛や恐れは、彼女自身の探求の反映とも言えるでしょう。
東宝版『エリザベート』の見どころ3選

東宝版の『エリザベート』は、オーストリア=ハンガリー帝国の皇妃エリザベート(シシィ)の人生と彼女が求めた自由について描かれたミュージカルです。
東宝版『エリザベート』の見どころ3つ紹介します。
1. 実力派・豪華なキャスティング
特にエリザベート役を演じる女優たちは、高い演技力と歌唱力を誇ります。
また、トートの役柄も非常に魅力的であり、歌唱シーンは観客を惹きつけます。
主要キャストのパフォーマンスが作品の魅力の一つとなっています。
2. 壮大な演出
舞台装置や衣装の美しさも見逃せません。
特に、1800年代のオーストリアという時代背景を反映した豪華な衣装と幻想的な演出により、物語の非日常感が引き立てられています。
エリザベートが日常を過ごす宮廷のシーンや、マダム・ヴォルフのコレクションのシーンは特に見どころです。
3. 音楽の素晴らしさ
楽曲は特に印象的で、多くの名曲が含まれています。
これらの楽曲は物語の情景をより深く表現し、観客に強い感情を呼び起こします。
音楽が持つ力によって、シシィの苦悩や願望が鮮明に描かれています。
特に有名な楽曲と言えば
代表的なものだけ挙げましたが、エリザベートはこの他にも素晴らしい楽曲がたくさんあります。
このように、東宝版『エリザベート』はキャストのパフォーマンス、演出、テーマ性、音楽など全ての面で高い完成度を誇る作品です。
次の上演が楽しみ!東宝版『エリザベート』の次回公演を楽しみに待とう
東宝版『エリザベート』は、2022年を最後に上演されていません。
大体2~3年ごとに上演されているので、そろそろかな…と思いますが、帝国劇場はリニューアルのため閉館中。
毎回帝国劇場で上演されていた『1789-バスティーユの恋人たち-』は2025年に明治座で上演されることが決定しています。
『エリザベート』も、違う劇場で上演されるかもしれませんね。
公式から発表があるまで、あらすじや登場人物を復習して楽しみに待ちましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました!
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